知って得する!不動産の豆知識
ライフスタイル&豆知識‼️

- 更新日2025-05-28
相続登記が義務化
●令和6年4月1日から相続登記が義務化
相続登記(土地、建物の名義変更)を忘れてませんか?
相続の際、遺産分割をきちんと済ませましょう!
面談や電話での相談(手続案内)は、盛岡地方法務局登記部門にお問合せください。
※正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科されることがあります。
建築条件付き物件のメリット
●建築条件付き物件のメリットと注意点
『建築条件付き』という言葉、聞いたことはありますか?今回はその概要やメリットをご紹介します。
●メリット
・信頼できる工務店やハウスメーカーが提案。
・企画段階からの相談が可能。
●注意点
土地売買契約後3ヶ月以内に、指定建築会社のいずれかと建物の建築請負契約を締結することを条件に販売します。この期間内に建築請負契約を結されなかった場合は、土地売買契約は白紙となり、受領した手付金等の土地代金は全てお返します。
気になる点があれば、お気軽にお問い合わせください!
生前贈与
●生前贈与の対象期間が7年に
2023年度の税制改正により、生前贈与の相続財産加算対象期間が変更されます。従来の「相続開始前3年以内」から、「7年以内」に延長されることとなりました。
●改正の概要
対象期間の変更
2024年1月1日以降の生前贈与から段階的に適用開始。
2031年1月1日以降の相続からは完全に7年に移行。
4年間の特例措置
延長された4年分(相続開始前4年目~7年目)については、総額100万円までが相続財産への加算対象から除外。
●改正の目的
相続税回避の駆け込み贈与防止:公平な課税を実現。
若年層への資産移転促進:富裕層への課税強化を図りつつ、資産を若い世代へ早期に移す。
●ポイント
生前贈与を相続税対策として検討する場合は、制度変更の趣旨を十分に理解し、計画的かつ適切に進めることが重要です。
証明書発行などの改定
●証明書発行などの改定する手数料の一覧
証明書発行などの各種手数料は、4月1日より改定されます。改定内容は不動産関係の手数料のみ抜粋しています。
手数料の名称 | 現行手数料 | 改定後手数料 |
---|---|---|
所得・課税証明書交付手数料※ | 300円 | 400円 |
確定申告用納税証明書交付手数料 | 300円 | 400円 |
固定資産評価証明書交付手数料 | 300円 | 400円 |
固定資産公課証明書交付手数料 | 300円 | 400円 |
償却資産証明書交付手数料 | 300円 | 400円 |
住宅用家屋証明申請手数料 | 1,300円 | 800円 |
滞納なし証明手数料 | 300円 | 400円 |
資産がない旨の証明手数料 | 300円 | 400円 |
滅失証明手数料 | 300円 | 400円 |
固定資産課税台帳(名帳)の閲覧手数料 | 300円 | 400円 |
※コンビニ交付は現行手数料(300円)から変更ありません |
不動産売買と源泉徴収
●不動産売買と源泉徴収のポイント
非居住者との取引に注意!
不動産売買を行う際、売主が「非居住者」(日本に住所や1年以上の居所を持たない人)の場合、買主に源泉徴収義務が発生する可能性があります。
源泉徴収とは?
源泉徴収とは、支払いをする人が一定の税額を差し引き、国に納付する制度です。例えば、企業が給与を支払う際に税金を差し引く仕組みと同じです。
不動産取引における源泉徴収のポイント
✅ 売主が非居住者かどうかを確認(住所・居所の有無)
✅ 国内の不動産を譲渡する際、非居住者が売主なら買主が源泉徴収義務者となる
✅ 適用される所得税法の規定(所得税法212条1項・161条1項など)
住所・居所の判断基準
住所:生活の本拠がある場所(最も関係の深い生活拠点)
居所:住所ではないが、一定期間継続して住んでいる場所
不動産取引をする際は、売主が非居住者かどうかを確認し、必要な税務処理を行いましょう。
詳しくは税理士などの専門家に相談するのもおすすめです!
補助金や助成金について
GX志向型住宅
GX志向型住宅とは、グリーントランスフォーメーション(GX)の考え方を取り入れた次世代型の住居で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を大きく上回る省エネ性能を有する住宅を指します。
主な要件
断熱等性能等級6以上
高い断熱性能を持つこと。
再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を35%以上削減
高効率な設備の導入などでエネルギー消費を削減すること。
再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量を100%以上削減
太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用し、エネルギー収支をゼロ以上にすること。
これらの要件を満たすことで、GX志向型住宅として認定され、最大160万円の補助金を受けることが可能です。
GX志向型住宅の普及を促進することで、2050年までに住宅の省エネルギー性能を向上させ、家庭部門のCO2排出量削減を目指しています。
長期優良住宅
長期優良住宅とは、長期間にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。 具体的には、以下の要件を満たす必要があります。
長期に使用するための構造及び設備を有していること
耐久性や耐震性、省エネルギー性能などが高いこと。
居住環境等への配慮を行っていること
周辺の景観や環境に調和していること。
一定面積以上の住戸面積を有していること
十分な広さを確保していること。
維持保全の期間、方法を定めていること
定期的な点検やメンテナンス計画が策定されていること。
自然災害への配慮を行っていること
災害リスクに対する対策が講じられていること。
これらの要件を満たし、所管行政庁に認定申請を行うことで、長期優良住宅としての認定を受けることができます。
メリット
税制優遇
住宅ローン減税や登録免許税、不動産取得税の軽減措置などが受けられます。
住宅ローン金利の優遇
一部の金融機関で金利引き下げの対象となります。
資産価値の維持
高い性能と適切な維持管理により、資産価値が保たれやすくなります。
長期優良住宅の認定を受けることで、経済的なメリットや安心・快適な暮らしを実現できます。ただし、認定取得には申請手続きやコストが伴うため、事前に十分な検討が必要です。
ZEH水準住宅
「ZEH水準住宅」とは、住宅の省エネルギー性能に関する基準の一つで、以下の要件を満たす住宅を指します。
断熱等性能等級5
高い断熱性能を有し、外皮(建物の外部に接する部分)の断熱性が強化されていること。
一次エネルギー消費量等級6
再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量が、省エネ基準から20%以上削減されていること。
これらの基準は、2022年4月の日本住宅性能表示基準の改正により新設されました。
「ZEH水準住宅」は、太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備の導入が必須ではない点で、従来の「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」とは異なります。
そのため、再生可能エネルギーの導入が難しい場合でも、高い省エネ性能を持つ住宅として評価されます。
「ZEH水準住宅」は、エネルギー使用量の削減により日々の光熱費を抑えることができ、さらに各種優遇制度の対象となる場合があります。
これにより、経済的なメリットも享受できます。
損害賠償請求が認められた判決
●バルコニーからの浸水被害に関する事例
借主に対する貸主の損害賠償請求が認められた判決
バルコニーの排水管理と借主の責任
東京地裁は、賃貸借契約における借主(Y)の善管注意義務違反を認め、貸主(X)の請求を認容しました(令和5年2月3日判決)。
判決のポイント
借主の義務
賃貸契約には、バルコニーの排水口を定期的に清掃する特約があり、借主は適切な管理を行う義務を負っていた。
事故の原因
台風時にバルコニーの排水が滞り、室内および階下へ浸水。排水口が鉢植えのゴミなどでふさがれていた可能性が高く、借主の清掃不足が原因と認定された。
損害額
浸水被害により、床やクロスの張替え、入居者の宿泊費など計254万円の損害が発生。これは借主の債務不履行と相当因果関係があるとされた。
和解成立
その後、借主(Y)が控訴したが、Xの加入保険で損害が補填され、YがXに27万円を支払うことで和解が成立。
宅建事業者の対応
近年の台風や大雨による浸水リスクを考慮し、賃貸媒介時には以下を徹底することが重要です。
借主に善管注意義務を伝える(排水口の定期清掃の必要性を説明)
貸主から浸水履歴や排水管の管理状況を確認し、借主に情報提供する
バルコニー排水の管理義務を契約書で明確化する
この事例は、借主の管理責任が問われた重要な判決であり、今後のトラブル防止の参考になります。
不動産関連の主なポイント 第1回
●令和7年度税制改正
令和7年度の税制改正のうち、不動産に関する重要な改正点について解説します。 ※本内容は令和6年12月20日に公表された「令和7年度税制改正大綱」に基づいています。
住宅ローン控除の特例(子育て支援対策)の延長
「子育て特例対象個人」が「認定住宅等」の新築等を行い、令和7年1月1日から12月31日までの間に入居した場合、借入限度額が拡充されます。令和6年に新設された特例が1年間延長される形です。
「子育て特例対象個人」の条件
年齢40歳未満で配偶者がいる
年齢40歳以上で、40歳未満の配偶者がいる
19歳未満の扶養親族がいる
「認定住宅等」とは?
認定長期優良住宅・低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
一定の改修を受けた「買取再販認定住宅等」
認定住宅等の種類 | 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
---|---|---|---|---|
認定住宅 | 令和7年 | 4,500万円 → 5,000万円 | 0.7% | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 令和7年 | 3,500万円 → 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 令和7年 | 3,000万円 → 4,000万円 | 0.7% | 13年 |
その他の要件
控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下
床面積が50㎡以上(一定の緩和措置あり)
新築・取得 | 緩和される床面積 | 建築確認 | 合計所得金額 |
---|---|---|---|
認定住宅等の新築 | 40㎡以上50㎡未満 | 令和7年12月31日以前に建築確認を受けた家屋 | 1,000万円を超える年については適用不可 |
建築後未使用の認定住宅等の取得 |
●子育て対応改修工事に対する所得税控除の創設
「子育て特例対象個人」が所有する住宅について一定の改修工事を行い、令和7年1月1日~12月31日までの間に入居すると、標準的な工事費用相当額(最大250万円)の10%が所得税から控除されます。
対象となる工事
子どもの事故防止のための工事
対面式キッチンへの交換
防犯性向上のための開口部工事
収納設備の増設
防音性能の向上(開口部・界壁・床など)
一定の間取り変更工事
要件
合計所得金額2,000万円以下
工事費用が50万円以上
● 結婚・子育て資金の一括贈与に対する贈与税非課税措置の延長
直系尊属(祖父母・両親)から結婚・子育て資金の贈与を受けた場合の贈与税非課税措置の適用期限が 令和9年3月31日まで2年間延長 されます。
まとめ
今回の税制改正では、住宅取得やリフォームを支援する制度が延長・拡充 され、子育て世帯向けの優遇措置が強化されました。 これらの制度を活用することで、住宅購入や改修にかかる負担を軽減できるため、該当する方はぜひご検討ください。
不動産関連の主なポイント 第2回 最終回
●登録免許税の特例延長
以下の特例措置が2年間(令和9年3月31日まで)延長されます。
相続による所有権移転登記の免税措置
特定目的会社(SPC)による特定不動産取得時の登録免許税軽減(13/1000)
不動産特定共同事業法の特例事業者による不動産取得時の登録免許税軽減(13/1000)
●不動産取得税の特例延長
以下の特例措置が2年間(令和9年3月31日まで)延長されます。
宅地建物取引業者が取得した既存住宅について、耐震改修後に個人へ販売した場合の不動産取得税減額
特定目的会社(SPC)による一定不動産の取得に対する課税標準の特例措置(3/5控除)
信託会社・投資法人による不動産取得の課税標準の特例措置(3/5控除)
不動産特定共同事業法の特例事業者による取得時の課税標準の特例措置(1/2控除)
政府補助対象のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置および住宅用土地の減額措置
● 固定資産税の特例延長
以下の特例措置が2年間(令和9年3月31日まで)延長されます。
マンションの長寿命化に資する大規模修繕工事を実施した場合の固定資産税減額
政府補助対象のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る固定資産税減額
このほか、住宅借入金等の年末残高の限度額等についても改正が行われています(表2・表3参照)。
表2
新築住宅の取得、未使用の建築済み住宅の取得、不動産業者による一定の増改築が行われた住宅の取得の場合。
認定住宅等の種類 | 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
---|---|---|---|---|
認定住宅 | 令和7年 | 5,000万円 | 0.7% | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 令和7年 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 令和7年 | 4,000万円 | 0.7% | 13年 |
認定住宅等の種類 | 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
---|---|---|---|---|
認定住宅 | 令和7年 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 令和7年 | 3,500万円 | 0.7% | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 令和7年 | 3,000万円 | 0.7% | 13年 |
居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
---|---|---|---|
令和7年 | 2,000万円 | 0.7% | 10年 |
表3
区分 | 居住年 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
---|---|---|---|---|
既存認定住宅等の取得 | 令和7年 | 3,000万円 | 0.7% | 10年 |
それ以外の場合 | 令和7年 | 2,000万円 | 0.7% | 10年 |
※なお、次の床面積の緩和措置があります。
相続登記の登録免許税が免除に
●2025年3月31日まで!相続登記の登録免許税が免除に
2024年4月1日から相続登記の義務化がスタートしましたが、2025年3月31日までの期間限定で登録免許税が免除される特例措置が適用されています。
●免税の対象
以下の条件に当てはまる場合、登録免許税が免除されます。
2024年3月31日以前に発生した相続による所有権移転登記
相続人が複数いる場合の「相続人申告登記」
市街化区域外及び市街化区域内にある土地で、不動産の評価額が 100万円以下である
条件を満たせば、例えば 固定資産評価額100万円の土地なら、本来4,000円の登録免許税が0円になります!
●早めの手続きがお得!
2025年4月1日以降は、この免税措置が適用されず、通常の登録免許税がかかります。
期限が迫っているので、早めの申請がおすすめ です!
賃貸人の修繕義務と損害賠償責任
●賃貸人の修繕義務と損害賠償責任
賃貸人は賃貸物件に修繕義務を負い、これに違反すると債務不履行による損害賠償責任を負うことになります。例えば、漏水などの問題が発生した場合、賃貸人は速やかに修繕を行う必要があります。放置していた場合、修繕義務違反として責任を問われることになります。
修繕義務の概要
賃貸人には賃貸物件を住みやすい状態に保つ義務があり、物件の漏水や浸水が発生した場合には、修繕が求められます。過失があれば賠償責任が生じ、賃借人が被った損害に対する賠償が必要です。
修繕義務違反の責任
修繕義務違反が認められる場合、賃借人の所有物が損傷した場合にはその補償や、住居が使用できなくなった場合には宿泊費なども賠償の対象となることがあります。精神的苦痛に対する慰謝料が認められることもありますが、一般的には使用の妨げに対する損害賠償が主となります。
事例
東京地裁の事例では、上階からの漏水によって賃借人が受けた損害として、靴のクリーニング代や引越代金、月額賃料の一部が賠償対象として認められました。賃借人が受けた使用妨害に対する損害賠償として、月額賃料の3割に相当する金額が認められたケースです。
賃貸人の対応
賃貸人としては、漏水などの問題が発生した場合、原因が明確でなくても早期に対応することが求められます。賃借人との信頼関係を築くためにも、迅速かつ誠実な対応が重要です。
相続空き家の3,000万円特別控除が改正
●相続空き家の3,000万円特別控除が改正!適用条件と変更点を解説
令和6年1月1日以降の譲渡について、相続等により取得した空き家の譲渡所得に係る3,000万円特別控除の適用範囲が拡大されました。本記事では、改正後の制度内容と適用要件について詳しく解説します。
改正後の控除額
相続人が相続した空き家およびその敷地を譲渡した場合、以下の控除が適用されます。
3,000万円/人(譲渡益が3,000万円に満たない場合はその金額)
相続人が3人以上の場合 → 2,000万円/人 に減額(令和6年1月1日以降適用)
譲渡益の計算式
譲渡益 = 譲渡収入金額 -(取得費+譲渡費用)
主な適用要件
特例を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
対象となる空き家
※昭和56年5月31日以前 に建築された家屋(区分所有建物を除く)
相続の開始直前に、被相続人以外の居住者がいなかったこと
相続日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること
譲渡対価の額が1億円以下であること
相続時から譲渡時まで、事業用・貸付用・居住用として使用されていないこと
適用を受ける際の注意点
① 被相続人が老人ホーム等に入居していた場合
被相続人が老人ホーム等に入所していたために空き家となった場合でも、以下の要件を満たせば特例の適用を受けられます。
・要介護認定または要支援認定を受け、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していたこと
・入所後から相続開始直前まで、家屋が事業用・貸付用・他者の居住用として使用されていないこと
② 共有で相続する場合
・建物と土地を両方とも共有で相続 → 各相続人が3,000万円控除可能
・土地だけを共有で相続 → 空き家を相続していないため控除対象外
③ 建物を除却(解体)して更地で譲渡する場合
・建物を除却した場合でも、特例の適用が可能
④ 建物を除却せずに譲渡する場合
・買主が譲渡後に耐震改修工事を実施する場合、特例適用可。ただし、翌年2月15日までに工事が完了していることが条件
売買契約における特約の推奨
特例を適用するためには、買主が2月15日までに耐震改修を完了し、売主に必要書類を提供しなければなりません。そのため、売買契約時に以下の特約を定めることが推奨されます。
売主・買主の合意
「売主は本特例の適用を受けることを前提に契約した」ことを明記
工事完了期限の明記
「買主は○年○月○日までに工事を完了し、売主に証明書類を交付する」
違約条項
「工事完了が間に合わず売主が特例適用を受けられなかった場合、買主が損害賠償責任を負う」など
その他の実務上の注意点
老人ホームの種類による適用可否
施設によっては特例対象外の場合があるため、事前確認が必要。
両親が相次いで亡くなった場合
例えば父の相続後すぐに母が亡くなった場合、母が父の自宅を相続していれば特例適用可能。
敷地内に複数の建物がある場合
母屋と離れ等、複数の建物がある場合は、特例の適用範囲を按分計算する必要がある。
買主が耐震改修工事を行う場合
特例適用には、工事完了期限(翌年2月15日) があるため、契約時に確認が必要。
確定申告時の提出書類
特例適用を受けるために、以下の書類を確定申告書に添付する必要があります。
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
譲渡資産の登記事項証明書
被相続人居住用家屋等確認書(市区町村長発行)
耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し(耐震改修を行った場合)
売買契約書の写し(譲渡金額1億円以下)
まとめ
令和6年1月1日以降、相続人が3人以上いる場合の控除額が引き下げ られるなどの改正が行われました。また、買主が耐震改修を行う場合の適用要件 が新たに追加されるなど、契約時の実務対応がより重要になります。
本特例の適用を受けるためには、要件を正しく理解し、適用に必要な書類を揃えることが必要です。適用可否の判断に迷った場合は、税理士や税務署に相談することをおすすめします。
不動産取引における税制特例適用ミスの事例と対策
●不動産取引における税制特例適用ミスの事例と対策
不動産取引では、税制上の特例を活用することで購入時の負担を大きく軽減できることがあります。しかし、特例の適用条件を正しく理解していないと、思わぬ損失を被る可能性があります。
紛争の概要
買主A(28歳)は、通勤に便利な都心の既存住宅を購入するために不動産を探していました。購入資金の計画として、
「住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例」
「登録免許税の住宅用家屋の税率の軽減」
の適用を受けたいと媒介業者Bに伝えていました。 媒介業者Bは、築後21年経過した軽量鉄骨造の既存住宅を勧め、Aは3,000万円で購入。しかし、契約後にこの物件が税制特例の適用要件を満たしていないことが発覚。 その結果、
贈与税が発生し、Aの負担額が 585.5万円 増加
登録免許税の軽減措置も受けられず、さらに追加負担が発生
Aは「媒介業者Bが適用要件を満たしていない物件であると説明しなかった」として、増額分の損害賠償を請求しました。
各当事者の主張
買主Aの主張
自身の意向を事前に伝えていたにもかかわらず、媒介業者Bが特例適用不可の物件を勧めた。
事前に適用可否を確認し、説明する義務が媒介業者にはあった。
その結果、税負担が大幅に増えたため、差額の損害賠償を求める。
媒介業者Bの主張
不動産業者は税の専門家ではなく、税制特例の適用可否の確認は依頼者の責任。
依頼者からの質問があれば調べて回答するが、税務相談までは行わない。
●本事例の問題点と対策
問題点
媒介業者の説明不足
・税制特例の適用要件を確認せず、適用できると誤認したまま物件を紹介。
・買主の意向を把握しながら、適用要件を満たさない可能性について事前に伝えなかった。
買主の自己確認不足
・税制特例の適用可否は最終的に自身で確認する必要があった。
税制改正への認識不足
・税制は改正されることが多く、適用条件が変わる可能性がある。
不動産業者の対策
物件の適用要件を事前に確認する
・築年数や耐火建築物の要件など、媒介業者でも確認できる情報は事前に調査。
・適用要件を満たさない場合は必ず説明し、買主に判断を委ねる。
買主に税理士や税務署への相談を促す
・税制特例の適用に関しては、「専門家に確認することを推奨する」と事前に伝える。
・具体的な税務判断は媒介業者の範囲外であることを明確にする。
書面で確認事項を残す
・「税制特例の適用可否は最終的に買主の責任で確認すること」と契約書や説明資料に明記。
・重要事項説明書や契約書に「媒介業者は税務相談を行わない」との文言を追加。
税制改正の情報を定期的に確認する
・例えば、令和4年度の改正では築年数要件が廃止され、新耐震基準適合が条件となった。
・適用要件が変わる可能性があるため、常に最新情報を把握する。
まとめ
不動産取引では、税制特例の適用可否が購入者のコストに大きく影響を与えます。媒介業者は税務の専門家ではありませんが、買主の意向を汲み取り、基本的な適用要件を確認した上で説明する責任があります。 トラブルを防ぐためには、
適用要件を事前に確認する
買主に税務の専門家への相談を促す
書面での確認を徹底する
税制改正を常に把握する
ことが重要です。
今後も、不動産取引における税制特例の適用について慎重に対応し、買主との信頼関係を築いていくことが求められます。
間違った税制説明による損害賠償請求の事例
●紛争の内容
買主兼売主Cは、媒介業者Bに「住宅ローンを借りたうえでマンションを買い替えれば、譲渡損失の繰越控除が使える」と説明された。
しかし、Bのアドバイスに従い 住宅ローンを売却代金で一括返済してしまったため、年末時点でローン残高がなくなり、特例適用が不可能に。
結果、Cは所得税や住民税の還付を受けられず、Bに対して損害賠償請求。
●紛争の関係図
売主Y → C(買主兼売主) マンション取得
C → 媒介業者B 買換え相談・媒介依頼
C → 買主X マンション売却
●各当事者の主張
C(買主兼売主)
間違った説明がなければローンを完済しなかった。
税制特例が使えず損害を受けた。
B(媒介業者)
借金負担軽減のアドバイスをしただけ。
税金管理はC自身の責任。
●問題点
「譲渡損失の繰越控除」特例は、年末時点で住宅ローン残高が必要だった。
媒介業者Bは適用要件を正確に理解せず、誤った助言をしてしまった。
税制にかかわる説明は、税理士や税務署での確認が必要だった。
●結果
Cは媒介業者Bを相手に損害賠償請求の訴訟を提起。
●本事例から学ぶこと
税制の適用要件を正確に把握すること。
あいまいな知識で助言せず、税理士や税務署に確認する。
特に「譲渡損失の繰越控除」制度は要件が細かく、注意が必要。
非居住者・外国法人から不動産を購入する際の源泉徴収
非居住者または外国法人から国内の土地や建物を買うとき、買主が対価に対して10.21%の所得税を源泉徴収し、国に納付しなければなりません。
🔺税率:10% + 復興特別所得税(0.21%)=10.21%
●源泉徴収が必要なケース
判定項目 | 内容 |
---|---|
売主 | 非居住者 or 外国法人 |
買主 | 法人・個人を問わず、支払者(=買主)が義務者 |
例外 |
買主が個人で、以下すべてに該当する場合は不要: ✔ 1億円以下の不動産価格 ✔ 自分や親族が居住用として取得 |
●非居住者・外国法人とは?
・非居住者 日本に住所がなく、1年以上国内に居所がない個人(例:海外赴任中の日本人も該当)
・外国法人 日本に本店や主たる事務所を有しない法人(支店があるかは関係なし)
●売主側の確定申告
・源泉徴収された売主(非居住者・外国法人)は、日本で確定申告が必要(多くの場合、還付申請)
●源泉徴収の免除制度
売 主 |
外国法人 or 非居住者
免除要件 | 税務署に「源泉徴収免除証明書」の交付を申請し、買主に提示すること(証明書の有効期限内)
●実務上の注意点
・契約時に売主が非居住者かどうかを必ず確認。
・売主が海外在住の日本人だった場合も、要注意!
・源泉徴収漏れがあると 買主が納税義務を負うので、確実な処理が必要です。
令和6年度 不動産の印紙税特例
【改正ポイント】
・不動産売買契約書等にかかる印紙税の軽減特例措置の適用期限が3年間延長されました。
・新たな適用期限は令和9年3月31日までです(措法91)。
項目 | 内容 |
---|---|
改正内容 | 印紙税軽減措置の適用期間延長 |
新しい適用期限 | 令和9年3月31日まで |
影響対象 | 不動産売買契約書、建設工事請負契約書 |
【印紙税の基本】
・売買契約書には印紙を貼って消印し、これが納税行為となる。
・電磁的方法(電子契約など)で現物交付がない場合、印紙税は課税されない。
・印紙未貼付や消印漏れには、重い過怠税(本税+2倍)が課せられる。
【印紙税が不要な契約書例】
・建物賃貸借契約書(賃貸内容だけなら)
・抵当権設定契約書
・駐車場利用契約書
・媒介契約書(委任状)
契約書タイプ | 説明 |
---|---|
建物賃貸借契約書 | 賃貸事項のみ記載なら不要(権利金記載は課税) |
抵当権設定契約書 | 不課税 |
駐車場利用契約書 | 不課税 |
不動産媒介契約書(委任契約) | 不課税 |
【契約書の記載金額の注意】
・土地売買と建物請負が両方ある場合、高い方の金額が印紙税の対象。
・変更契約の場合:
増額 ⇒ 増加分が対象
減額 ⇒ 200円課税(記載金額なし扱い)
【印紙税の軽減後税額一覧】
記載金額 | 税額(軽減後) |
---|---|
1万円超~50万円以下 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30,000円 |
1億円超~5億円以下 | 60,000円 |
5億円超~10億円以下 | 160,000円 |
10億円超~50億円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
【消費税との関係】
・消費税が明示されていれば、消費税額は記載金額に含めない。
・区分されていなければ税込金額で印紙税額を決める。
消費税区分と印紙税
消費税記載方法 | 記載金額への影響 |
---|---|
消費税が明示されている | 消費税額は除外して判定 |
消費税が明示されていない | 税込総額を記載金額として判定 |
令和6年度 登録免許税 改正のポイント
🏡 登録免許税の軽減・免税措置【延長・廃止】
改正内容 | 軽減・免税措置 | 改正後税率(通常 → 軽減) | 適用期限 |
---|---|---|---|
① 住宅用家屋の登記 | 所有権保存・移転・抵当権設定 |
保存:1,000分の4 → 1.5 移転:1,000分の20 → 3 抵当:1,000分の4 → 1 |
令和9年3月31日まで |
② 特定認定長期優良住宅 | 所有権保存・移転 |
保存:1,000分の4 → 1 移転:1,000分の20 → 1(戸建ては2) |
令和9年3月31日まで |
③ 認定低炭素住宅 | 所有権保存・移転 |
保存:1,000分の4 → 1 移転:1,000分の20 → 1 |
令和9年3月31日まで |
④ 増改築住宅(宅建業者) | 所有権移転 | 1,000分の20 → 1 | 令和9年3月31日まで |
⑤ マンション建替事業 | 権利変換登記等 | 登録免許税免除 | 令和8年3月31日まで |
⑥ 中心市街地活性化事業 | 所有権移転登記等 | 税率軽減 | 期限到来により廃止 |
⑦ 低未利用土地の取得 | 所有権等の登記 | 税率軽減 → 廃止 | 期限到来により廃止 |
🔍 登録免許税の基本
・課税される登記例:所有権移転登記、保存登記、抵当権設定登記
・課税標準:固定資産税評価額(登記申請日による)
登記申請日 | 課税標準となる評価日 |
---|---|
1月1日~3月31日 | 前年12月31日現在の評価額 |
4月1日~12月31日 | 当年1月1日現在の評価額 |
令和6年度 不動産取得税 改正点まとめ
●老朽化マンションの建替えに関する非課税措置
対象:特定要除却認定マンション及びその敷地
内容:不動産取得税の非課税措置
改正点:適用期限を2年延長(~令和8年3月31日まで)
●宅建業者による新築住宅取得の特例
内容:住宅の新築から「1年以内」に取得したものとみなす特例(従来は6ヶ月)
改正点:猶予期間を1年に緩和し、令和8年3月31日まで延長
●新築住宅用地に係る減額措置
内容:床面積の2倍(200㎡上限)相当額等の減額
改正点:期限延長(令和8年3月31日まで)
●高規格堤防整備に伴う代替家屋取得の特例
内容:移転補償を受けた者の代替家屋に係る課税標準の特例
改正点:期限延長(令和8年3月31日まで)
●認定長期優良住宅に係る課税標準の特例
改正点:適用期限を令和8年3月31日まで延長
●住宅・宅地取得に係る税率と課税標準の特例
住宅・土地取得の税率特例:標準税率4% → 特例で3%
宅地の課税標準:価格の1/2に軽減
適用期限:令和9年3月31日まで延長
●低未利用土地取得に係る課税標準の特例
対象区域:居住誘導区域・都市機能誘導区域
改正点:廃止
不動産取得税の概要
(1)課税のタイミングと対象
・取得には売買、建築、贈与、出資など有償・無償問わず課税
・相続による取得は非課税
・所有権取得が実質的に認められたときに課税(登記の有無は不問)
(2)課税標準
・原則:固定資産課税台帳に登録された評価額
・タワーマンション(高さ60m超・複数階に住戸がある建築物)は階層別補正率を適用
→ 例:1階を100とし、1階上がるごとに+0.256を加算
(3)税率一覧(令和6年度時点)
区分 | 税率 | 備考 |
---|---|---|
土地・住宅取得 | 3%(令和9年3月31日まで) | 特例適用時 |
家屋(非住宅) | 4%(標準税率) | - |